債権回収
1 債権回収の手段
相手方がなかなか金を払ってくれない。債権回収に困ったとき、単に泣き寝入りするのはあまりにも勿体無いです。
債権を強制的に回収する方法は、次のとおりいくつもあります。弁護士に相談して、強制的な回収を目指しましょう。
2 内容証明の送付と交渉
⑴ 内容証明とは
内容証明郵便というのは、送った文章の内容を郵便局が証明してくれる郵便です。(内容が正しいことを証明してもらえるわけではありません。)
この内容証明郵便が届けば、その内容の郵便が相手に届いたことが明らかにできます。「そんな郵便受け取っていない!」と言いそうな相手には内容証明郵便で通知するべきです。
⑵ 内容証明郵便の効力
さて、内容証明郵便には、債権回収においてどんな効力があるのでしょうか。
内容証明郵便自体には、強制力はありません。この郵便だけで相手の財産を強制的に差し押さえたりすることまではできません。
とはいえ、特に内容証明を弁護士名義で送った場合、「払わなければ裁判や法的手続きも辞さない」という確固たる意思を示すことができます。受け取った相手も、「裁判をされるくらいなら今のうちに払おう・・・」と観念して支払ってくることも珍しくはありません。
3 支払督促
相手方が何も争ってこないことが予想される場合は、支払督促という方法で債権回収をするのが簡便です。
これは、裁判所を通じた手続ですが、裁判ではありません。
支払督促を申し立て、相手方に支払督促が送達された場合、相手方が2週間以内に異議を述べなかった場合は、仮執行宣言の申立てを行うことができます。この仮執行宣言が得られた場合、相手方の財産を強制的に差し押さえることができます。
逆に、相手方が異議を述べた場合は、通常の訴訟に移行することになります。何らかの異議を述べてくることが予想される場合は最初から訴訟を提起する方がよいでしょう。
4 訴訟手続
訴訟は、強制的な債権回収を目指す手続です。
⑴ 和解による回収
訴訟といっても、多くは「和解」によって終了しています。和解によっても、そこで決まったことについては強制的に債権回収をすることができます。
たとえば、「○月○日に100万円を払う」という内容の和解が成立した場合、○月○日に100万円が払われなければ、相手方の財産を強制的に差し押さえたりすることができることになるのです。
むしろ、和解は、相手に無理のない支払を確約させる効力がありますので(しかもその約束を破れば強制執行ができる。)、むしろ確実に債権を回収することにつながることも多いのです。
⑵ 判決による債権回収
訴訟は最後までいけば判決となります。「被告は原告に100万円払え」という勝訴判決をもらうことができれば、その判決によって強制的な債権回収が可能となります。
5 仮差押
訴訟は時間がかかります。その間に相手が財産を隠してしまわないように、法的に財産を「仮に」押さえてしまう手続です。
相手方の持っている財産が事前にわかっている場合、訴訟提起に併せて仮差押を行う必要があります。
6 強制執行
勝訴判決をとっても終わりではありません。相手が素直に払ってこなければ、相手の財産から強制的に回収を図るしかありません。それが強制執行です。
強制執行では、相手方の持っている不動産、動産を差し押さえたり、相手方の持っている売掛け金や預金口座を差し押さえたりすることができます。前提としては相手方の財産調査が不可欠です。